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『LA VIE 1923』料理長小西雄司さんインタビュー

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こんにちは!キャデラック・シボレー北大阪です。

本日は、GLIONグループのフレンチレストラン『LA VIE 1923』の料理長、小西雄司さんのインタビューをご紹介したいと思います!

 

 

地球上全てのものからインスピレーションを受け誕生する「至極の料理」の原点とは。

 

今年2月に「オーベックファン神戸」がGLION MUSEUM敷地内に移転し、雰囲気を変えて新たにスタートした「LA VIE 1923」

多くの人を魅了し続けてきた小西シェフの料理の原点に迫ります。

 

 

シェフ 小西雄司 プロフィール

1982  滋賀県竜王町生まれ。

幼少期より料理に興味を持ち高校卒業後に京都調理師専門学校に進む。卒業後はグランマノワール、ミク二ナゴヤ、グランメゾン グラシアニにて恩師である森永氏のもと10年間修行。その後渡仏。 

フランスでは、オーベルジュ ラ フニエール (1つ星)、ロアジス(2つ星)、ラ カシェット(1つ星)

と名だたるレストランで更なる修行を積み、帰国。

帰国後、オーベックファン神戸入社

2016  オーベックファン神戸料理長就任

2019  LA VIE 1923  料理長就任

 

 

 

根底には“おもてなし”の心。ここには確かにジーライオンイズムがある。

自分の故郷が、住んでいた幼い頃はまだ田舎で、自然の豊かな土地でした。

料理というのは、自分の記憶や経験、想い出をもとに技術を加えて組み立てていくものだと思っています。

たとえば、子供の頃遊んだ自然の風景などは色濃く反映されていると思います。

 

―なるほど。確かに幼い頃の記憶って、いつまでも脳裏に存在感がある気がします。
では、いつ頃から「料理」に目覚めたのでしょうか。

 

小さい頃から、とにかく食べることが好きでした。それが高じて小学校に入学する頃には自分で作るようになっていましたね。簡単な卵焼きとかですけど。

それと、自分の作ったものを親や兄弟に食べてもらって喜んでもらうことが快感でした。

小さいときに、そうやって人に喜んでもらうことで、自分の存在意義のようなものを感じ取っていたと思います。

他者の喜びというか、そこが大きく料理人人生に影響していると感じています。

 

―そこから、現在のフレンチの道に進まれたきっかけは何だったのでしょう。

 

高校生のときに、近くの会席料理のお店でアルバイトをしていました。昔からお寿司が好物だったので、寿司職人になりたかったのですが、そのアルバイト先の方に「寿司」以外にもいろんな料理の道があることを教えていただき、専門学校へ進みました。

そこで、出会ったのがフレンチでした。

 

―いろんな道があるなかで、なぜフレンチをと思われたのでしょうか。

 

まずは、自分の知らない「味」がそこにはあったからですね。食べたことのない味。小さい頃から慣れ親しんでいない味。それを学ぶことで知らなかった文化を知ることができ「やりたい」と思いました。

たとえば甘いものは苦手で殆ど食べなかったのですが、この専門学校ではじめて食べたデザートが美味しくて感動したんです。このときに、「ホンモノ」のデザートは、甘いものが苦手でもこんなに美味しい、と驚きました。

ここが、料理人としての原点と言えると思います。フレンチ以外の要素も取り入れているのもそのあたりに起因するんでしょうね。

 

―なるほど。情景。体験。感性。これらがキーワードですね。

 

具体的にいうと、今の季節でしたら気温の上昇と共に「緑」がどんどん上がってくる。草の匂いや、水を張った田園の土の匂い。カエルの声や蛍の灯かり。セミの声・・・五感をフルに使って季節を感じていました。

そこで“こんな季節にはこんなものがあった”という記憶を料理に投影するんですね。ちょっとしたロジックです。

 

ひらめき×感性。これはもう才能。

 

具体的な例でいえば、土を思い浮かべたときに「ごぼう」がひらめきます。これは考えるというよりはインスピレーションですね。

料理を考えるときに、素材から発想をスタートさせるときもありますが、むしろ、最終ゴールのイメージから逆算して組み立てて行く事の方が多いですね。

着地点への道のりはいろいろあります。あくまでイメージを先行させて組み立てていきます。

 

―すると、そこに「フレンチ」へのこだわりはあまりない、ということですか?

 

そうですね、先人達のテクニックは使わせてもらうが、料理はオリジナルでなければと思っています。

メニュータイトルも含め、全てを自分で考えます。人と違うことをやりたい、という気持ちが強いですね。

最後まで、魂を込めて創りたい。

もちろん、ゼロから何かを生み出すのはしんどいですが、それが仕事だと思っています。

 

―行き詰ってしまうこともあるかと思うのですが、そんな時はどうやって切り替えるのでしょう。

 

その時は、もう何も考えずに一旦フラットにします。音楽を聴いたり。実際の季節よりも先のメニューを考えるとき、どうしても気分がその季節に惹かれていかないときなどは、そこにもっていくために音楽を使うことが多いです。

昔、ダンスをしていたので、その影響で今でもヒップホップが好きですね。音楽にインスパイアされるという要素が大きいと思います。

 

―そういえば、音楽がお好きと聞きました。

 

音楽の料理への影響は大きいと思います。たとえば、ラップのように聴いていて心地がよく、身体に自然に入ってくるリズムやビートを料理に反映させて映画のようにストーリー性を持たせる。落とし込むと言った方がいいかもしれません。

料理の名称に韻を踏んだりするのも、そのリズムやビートの影響です。ストーリーの中のキーワードを決めて、組み立てるイメージですね。

(*メニューの名称例: ・温故知新 シャラン鴨とオレンジのオマージュ Ⅱ )

 

―なるほど。見聞きする全てのものが料理に活かされているということですね。

その中で、何かこだわっていることはありますか?

 

こだわりというか、むしろ、「何ごとにもとらわれない」ことがこだわりといえるかもしれません。

昨日まで宝物だったものが今日はゴミになったり、逆に昨日までゴミだったものが今日は宝物に思えることもある。常識にとらわれず、率直に良いと思ったものを使う。ですので、フレンチのテクニックを使いながらも和の食材を使うことももちろんあります。分かりやすくいえば、フレンチのテクニックを軸に周りにどんどん部屋を増やしていくイメージですね。「君子は豹変す」という言葉が好きなのですが、常に見方をかえ、360度見回して可能性を探ります。そのうちに自分の組み立てたいところに当てはまっていって、作りたい料理にたどり着きます。

 

 

自分の作りたいもので人に喜んでいただく。それが醍醐味。

 

―お料理の醍醐味ってなんでしょう。

 

やはり、新しいものを作り出すことができる。自分の作りたい味を具現化できる。それによってお客様に喜んでいただける。そしてそれがお客様の心に残っていく。これが料理人をやっていてよかったと思う瞬間ですね。

この仕事は、お客様に喜んでいただくことでしか満足感を得ることができません。たとえば、自分が不完全燃焼の状態で作った料理を、仮にお客様が喜んでくれたとしても物足りないというか。もし、自分が100%の状態であったなら、お客様は130%喜んでくれていたのではないか、と思ってしまうので、常に100%であることを自分に課しています。

それに加えて、雰囲気や料理を出すタイミングなど、全ての要素が相まってお客様の感動に結びついていくと思っています。

 

―今後はどのようなことを目指していくのでしょうか。

 

もちろん、ミシュランも目指したいのですが、まずはミシュランがなくても美味しいお店であることです。

「あそこに行けば美味しい料理と良い雰囲気が味わえる」と思ってもらえるお店ですね。

いま、自分達が取組んでいることを自信をもってご提供し、満足いただける。

美味しかった、感動した、というお客様からの声が耳に届くと、本当に嬉しいですね。

 

―今後、料理人を目指したいという人へのメッセージなどありますか?

 

これは、どんな世界でもいえることですが、何ごとも「ちゃんとできるように」なって初めて楽しさがわかってくるので、そこまで突き詰めてほしいですね。そこを知らずしてやめてしまうのは間違いだと思います。

苦労を乗り越えて、極めてこその楽しさですね。自分自身も料理を本当に楽しいと思うようになったのは30歳を過ぎてからです。それまでも、もちろん魚がさばけるようになったとか、肉が焼けるようになった、という、小さな達成感はあるのですが、本当の楽しさは自分で考えて作った先にあるものだと考えます。そこには楽しさだけでなく、もちろん苦しさもあるのですが、そこを超えてこその楽しさであることを知ってほしいです。

これは料理に限らず、どんなことにも共通することですが。

 

―なるほど。体験から学んだことですね。

 

それに、この世界はまずすごく好きじゃないとできません。いろんな方向にアンテナを張って感性を常に磨いていないと料理には結びつきません。料理以外のところから得るインスピレーションの方が圧倒的に多いので。

たとえば、花や海や自然を見てヒントを得る。それを具現化するために「一つの答えに向かって多方面からアプローチしていく」

 

―ストイックですね。

 

料理人になりたての頃は、四六時中料理のことばかり考えていました。そうしないとメニューを書くことができなかったんですね。スタッフに2ヶ月前にはレシピを渡すために、そうせざるを得なかったんです。

今では、その頃の経験が多くの引き出しとなっています。外食に行くときも、できるだけフラットでありたいのでフレンチやイタリアンのお店ではなく、お寿司とか焼肉を食べに行きます。

よいものは良い。産地にこだわる人も多いですが、自分の中では「美味しい」か「美味しくない」かという基準だけです。

 

―最後に、料理以外で今最も興味のあることはなんでしょう。

 

そうですね、子供の成長でしょうか。いま1歳半ですが、生まれてからの1年半で本当にめまぐるしく成長してきた過程をみているのが面白いです。今後は、子供から受けるインスピレーションも料理に投影されていくと思います。

また、味付けは年齢とともにどんどん変わっていきます。これから自分の年齢と共にどう美味しくなっていくかを楽しみにしていただきたいと思います。

 

―これからのLA VIE 1923のお料理が楽しみです。

今日はありがとうございました。

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